黎明期以来、数万本以上が制作されていると言われる日本のテレビドラマ。1年のうちに放送されるドラマは100本程度に上り、その大半が放送後に配信・ソフト化されている。しかし、中には、配信はおろかDVDにも収録されていない「幻のエピソード」も。今回は、大人の事情で世に出なかった「永久欠番」回について解説する。第2回。(文:編集部)
『ウルトラセブン』(1970)第12話「遊星より愛をこめて」
キャスト:阿知波信介、古谷敏、ひし美ゆり子
怪獣ブームの火付け役として、昭和男子の胸を躍らせた『ウルトラシリーズ』しかし、中には、社会的に大問題になった回もある。1967年12月17日放送の『ウルトラセブン』第12話「遊星から愛をこめて」だ。
監督はあまたの特撮作品を世に送り出した奇才、実相寺昭雄。脚本は、実相寺と長年コンビを組んできた佐々木守が担当している。
物語はこうだ。ある日突然、宇宙のどこかで大爆発が発生。ウルトラホーク2号で宇宙パトロール中だったソガ隊員(阿知波信介)とアマギ隊員(古谷敏)は、大爆発による放射能を検出する。
一方その頃東京では、謎の腕時計を手にした若い女性たちが「原爆病」に似た症状で次々と命を落としており、アンヌ隊員(ひし美ゆり子)の友人も、その腕時計をはめていた。
アンヌが友人に腕時計を問い詰めると、彼は、恋人からもらったものだと答える。恋人を尾行するアンヌ。すると、廃ビルに入った彼は、アンヌの目の前で「スペル星人」へと姿を変えるー。
さて、本作で問題となったのは、この「スペル星人」のビジュアルだ。
のっぺりとした脳面のような顔に、真っ白な肌。そして、体には、ところどころ火傷の跡がついている。実相寺によると、この跡は「ケロイド」なのだという。そう、このキャラクターは、原子爆弾に伴う被爆がモチーフになっているのだ。
ただ、このキャラクターが問題視されるようになったのは、放送から3年後のこと。雑誌の付録に「ひばくせい人」というあまりにもなネーミングで載っているのを東京都原爆被爆者団体協議会の専門委員だった中島竜美氏が発見し、抗議したのが始まりだった。
その後、新聞が大きく報じたことで、全国の被爆者団体が小学館と円谷プロを抗議。円谷プロは、「今後一切、スペル星人に関する資料の提供を差し控える」として、スペル星人もろとも本エピソードを完全欠番とした。
ただ一方で、中島氏は雑誌で次のように語っている。
「私の投書が結果的に第12話を封印させてしまった。表現の自由を潰してしまったという思いがある。簡単に存在をなくすことは恐いことだ」(『FLASH』2005年11月22日号)
スペル星人が残した問題は思いのほか深いのかもしれない。
放送禁止の闇…二度と見られない人気ドラマの永久欠番回(2)簡単に存在をなくすことは恐い…放送終了後に物議(映画チャンネル) - Yahoo!ニュース
黎明期以来、数万本以上が制作されていると言われる日本のテレビドラマ。1年のうちに放送されるドラマは100本程度に上り、その大半が放送後に配信・ソフト化されている。しかし、中には、配信はおろかDVDに