地上波テレビからボクシングがなくなる…3月14日深夜のフジボクシングで定期放送に一区切り フジ・プロデューサー「機会があれば単発でも放送」
中日スポーツ2026年3月13日 21時17分
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ボクシングの地上波テレビ放送が区切りを迎えた。3月10日、東京・後楽園ホールで行われた日本スーパーウエルター級タイトル戦、王者・神風藍(RK蒲田)―挑戦者・左右田泰臣(EBISU K’s BOX)。フジテレビが「フジボクシング フェニックスバトル」として14日深夜2時45分から放送するこの試合で、フジテレビが毎月深夜に行っていた定期放送が終了。地上波からボクシングの放送予定がなくなることになった。
フジボクシングは月に1度、三迫ジムが主催する「ダイヤモンドグローブ」と、大橋ジムが中心となった「フェニックスバトル」を交互に放送。地上波で唯一のボクシング定期放送だった。
フジテレビ竹内太郎プロデューサーによると、今回の決定は昨年度不振だった同局の予算問題が大きいが、撤退ではないという位置付け。「機会があれば単発でも放送したいし、レギュラー放送の復活も目指していく」といい、その意味も込め14日深夜の放送で最終回などの表現はしない予定だ。
地上波テレビとボクシングは栄光の歴史を築いてきた。1955年5月の世界フライ級タイトル戦パスカル・ペレス(アルゼンチン)―白井義男(日本テレビ)はテレビ史上最高とされる視聴率96・1%を記録。フジテレビも59年8月の同級タイトル戦、ペレス―米倉健司で同77.4%を達成した。
時代の変遷にともない定期放送のない時期もあった。ただ、その間も世界戦はコンスタントに地上波放送されてきた。今回は近い将来に地上波テレビで世界戦が放送される予定がなく、その見通しもないことが決定的に異なっている。
現在、国内ボクシングは黄金時代を迎えている。パウンド・フォー・パウンド(全階級最強)ランキングで首位を争う世界4団体統一スーパーバンタム級王者・井上尚弥(大橋)を筆頭に前WBC・IBF統一バンタム級王者・中谷潤人(M・T)、WBCバンタム級2位・那須川天心(帝拳)ら、実力、知名度のあるスターが並ぶ。
だが、視聴者とスポンサーのテレビ離れに伴い、地上波からボクシングに限らず多くのスポーツ中継が減少。世界的なファイトマネーの高騰も中継を困難にした。
そんな流れの中、2022年4月にAmazonのプライムビデオが国内独占生配信を担当してWBA・IBFミドル級王座統一戦、WBA王者・村田諒太(帝拳)―IBF王者ゴロフキン(カザフスタン)が実現。これをきっかけにボクシングは一気に配信時代になる。
現在、地上波からボクシングが消える中、プライムビデオに加え15日のトリプル世界戦を生配信するU―NEXT、5月に東京ドームでの井上尚―中谷をペイ・パー・ビューで独占生配信するLemino、さらにABEMA TVと、多くのデジタル配信サービスがボクシングに参入する。
ただ、地上波テレビは今でも最も広く影響を与えられるメディアだ。フジテレビと長くコンビを組んできた三迫ジムの三迫貴志会長は「地上波の影響力は全然違う。それは選手も実感している。それに、地上波テレビならではの番組クオリティーも大きかった。残念です」という。同ジムは当面YouTubeで主催興行を配信する計画だが、フジテレビの担当者と継続して連絡を取り合って定期放送復活の努力を続け、単発での試合放送も模索していく考えだ。
井上尚の人気には、2019年のドネア第1戦まで中継を担当したフジテレビも貢献した。中谷も初の世界タイトルマッチは日本テレビが中継。那須川はキックボクシング・総合格闘技時代に地上波で試合を中継され、バラエティー番組にも数多く出演している。
地上波の試合中継がなくなった今、今後の選手たちの知名度がどうなっていくのか。ボクシングは時代の分かれ目を迎えている。