【芸能】霜降り明星は「ダウンタウン」になれるのか…MC番組が“打ち切り多発”も業界関係者から支持されるワケ
【芸能】霜降り明星は「ダウンタウン」になれるのか…MC番組が“打ち切り多発”も業界関係者から支持されるワケ
お笑いコンビ・霜降り明星の勢いが止まらなくなりそうだ。
霜降り明星といえば、2013年1月に結成。早くから漫才の実力を認められ、2018年に「第7回ytv漫才新人賞決定戦」、さらに『M-1グランプリ2018』で優勝したことで大ブレイクした。また、粗品は個人で『R-1ぐらんぷり2019』にて見事に優勝。若くして、賞レースで結果を残し強烈なインパクトを世の中に与えた。
その実力は漫才だけにとどまらず、コンビとして『新しいカギ』(フジテレビ系)、『R-1グランプリ』(関西テレビ・フジテレビ系)に出演し、ラジオ番組『霜降り明星のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)も好調だ。また、個人でもテレビ、ネットを問わずに大暴れし、いまもっとも目が離せないお笑いコンビとなっている。そんな天下取りに邁進(まいしん)している霜降り明星の魅力を、この記事では改めて検証していきたい。
◆『27時間テレビ』で見せた、コア視聴率を獲得できる実力
さて、近々で霜降り明星の実力を見せつけられたのは、なんといっても『FNS27時間テレビ 日本一たのしい学園祭!』だろう。番組では、『新しいカギ』を共にささえるチョコレートプラネット、ハナコと総合司会を担当。
粗品は多くの場面でメインMCを務め、さまざまな企画を進行した。また、芸達者のせいやはどんな企画でもメインとして番組を引っ張り、27時間という長丁場の番組を盛り上げ続けた。
この番組で、いろいろな意味で話題を集めたのが、粗品をメインとする深夜帯の企画「粗品ゲーム~日本一不条理なお笑いバトル~」だ。粗品がゲームマスターという名の司会を務め、ネクストブレイク芸人とともにさまざまな企画に挑戦。「1人賛否クイズ」と名付けたコーナーでは、お題に挙がった芸人の写真を基に粗品が言いそうなコメントを発表するという大喜利を実施した。
途中、芸人の失言もあるなどきわどい内容になったが、ネットニュースで大きく取り上げられることになる。
このコーナーは、粗品が自身のYouTubeチャンネルで展開する「1人賛否」のゲーム版。個人動画の企画が『27時間テレビ』のコーナー企画になったわけで、粗品の企画力・発想力がどれだけ高いか物語っている。
また、モノマネや歌唱力・トーク力が高いせいやは、どの企画でもマッチする活躍を見せた。他の2組と共に、霜降り明星の底力を見せつける番組になったことは間違いない。
ちなみに、『27時間テレビ』は、視聴率において全時間帯での平均視聴率で個人全体4.0%、コアターゲット(男女・13~49歳)で4.6%を獲得(すべてビデオリサーチ調べ、関東地区)。
この数字は同時間帯で横並びトップとなり、さらに7月21日のフィナーレ付近では、個人6.9%、コア7.8%まで数字を伸ばした。フジテレビでは、放送時点では2024年の最高記録を更新したとされ、さらにビデオリサーチが発表したデータでは、番組をリアルタイムで視聴した人が、全国で約5978.9万人(到達人数)となったという。
『新しいカギ』が若者から支持されていることを考慮しても、かなり高い数字だといえる。もちろん、チョコレートプラネット、ハナコの奮闘(「カギダンススタジアム」では、ハナコ・秋山寛貴、チョコプラ・松尾駿が大活躍!)があったわけだが、やはりメインを務めたのは霜降り明星の2人だったことは間違いない。それだけ、霜降り明星は若者から支持され「コア視聴率を獲得できる」芸人に成長していることになる。
◆コンビでMCを務める番組は打ち切り続く
とはいえ、ここまで霜降り明星を持ち上げておいていきなり落とすようだが、コンビで「テレビ」において好調かといえば微妙だ。
これまで、M-1効果もあり『オトラクション』、『霜降りミキXIT』(ともにTBS系)などMCを務める番組が続々立ち上がったが、どれも2年もたずに打ち切り。さらに、2019年からレギュラーを務めた冠番組『霜降りバラエティX』(テレビ朝日系)も、2024年6月末で打ち切られるなど、なかなか番組が続かない状況が続いている。
ただ、個人での活動は順調で、せいやは『探偵!ナイトスクープ』(ABCテレビ)をはじめ、『ラブ!!Jリーグ』、『イワクラせいや警備保障』(ともにテレビ朝日系)などレギュラー番組を担当。また、『有吉クイズ』(テレビ朝日系)の準主役として大活躍している。
粗品はテレビのレギュラーは少ないが、ソロ歌手として楽曲を発表し、ユニット・ギャンブル四兄弟(粗品・前田龍二・シモタ・大東翔生)では2024年11月24日に横浜アリーナで「チンチロ」を開催する予定。
また、さまざまな物議を醸しているYouTubeチャンネル『粗品 Official Channel』は登録者数を増やし続け、原稿執筆時点の2024年8月上旬では 212万人を突破している。マルチに活躍する芸人として、もっとも多忙なのではないだろうか。
◆個人での活躍が目立つ霜降り明星は、ダウンタウンになれるか?
せいやはテレビ、粗品はネットやイベントで実力を発揮。コンビ仕事が少ないからこそ現在は個人での仕事が活発だが、この状況は今後の霜降り明星にとってプラスに働くと考えられる。
いわゆる若手と言われる芸人の中で、個人でそれぞれに実力がありしっかり仕事に繋げられているのは霜降り明星くらい。しかも、さまざまなジャンルでファンを拡大している。
粗品に関しては、YouTubeで炎上を繰り返しているが、人気が低迷している雰囲気はない。それどころか、『新しいカギ』や『27時間テレビ』の好調さを見ると、過激な言動も若者から支持をしっかりと受けている印象だ。
そんな霜降り明星だが、コンビで活動しながら、個人でも活躍するのは先輩であるダウンタウンやウッチャンナンチャン、とんねるずを思わせる動き。特に、若者から熱狂的な支持を受けている辺りは昔のダウンタウンを彷彿(ほうふつ)とさせ、千鳥やかまいたちなど先輩コンビと共に、「ポスト・ダウンタウン」のレールに霜降り明星もしっかり乗ったのではないかと思う。
特に、『27時間テレビ』でコア視聴率を取れることを実証したことは大きく、今年後半からコンビとしての人気も盛り返していくことが予想される。もしかしたら数年後、先輩芸人たちを差し置いてダウンタウンの代わりとなるコンビに成長しているかもしれない。そんな妄想を掻き立ててくれるくらいに、今年に入って霜降り明星は勢いを増している。
◆2人の熱くてエモい芸人魂で今以上の大ブレイクの可能性も
そんな霜降り明星の最大の魅力は、エモくて熱い芸人魂だと筆者は考える。粗品が辛辣なコメントをYouTubeなどで配信することが多く、冷めたイメージを持たれるが、ラジオ番組『霜降り明星のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)やコンビのYouTubeチャンネル『しもふりチューブ』(登録者数が2024年8月上旬で213万人!)では、コンビ愛や芸事への熱い思いを語っている。
ラジオやYouTubeを見ているファンには、芸に真摯で常におもしろいことだけを考えている2人の姿勢はおなじみ。この熱い気持ちは『新しいカギ』や『27時間テレビ』では披露しているが、もっとテレビで活かされればさらなるブレイクに繋がると考える。
ちなみに、2人とも現在大騒動を巻き起こしているフワちゃんの大炎上について、それぞれがやす子にエールを送る動画を配信。渦中の問題ながら果敢に自分のメッセージを出し、熱いメッセージを送ったことで、その漢気(おとこぎ)に支持が集まっている。こういった人間臭さが霜降り明星の魅力で、特に多感な若い世代は惚れ込み応援したくなるところだろう。
テレビ業界は、いまや若年層がメインのコア視聴率獲得を命題としている。そんな中で、『27時間テレビ』でしっかりとコア層の人気があることを証明した霜降り明星は、再びテレビ関係者から注目を集めるのは間違いない。
これまでは、コンビとしての番組は短命に終わっているが、『新しいカギ』のように高い人気を集める番組を、今度は霜降り明星として作り上げていくことが期待されている。
<文/ゆるま小林>
【ゆるま 小林】某テレビ局でバラエティー番組、情報番組などを制作。退社後、フリーランスの編集・ライターに転身し、ネットニュースなどでテレビや芸能人に関するコラムを執筆